消化器内科
最終更新日:2023年4月1日
診療科の紹介
最新の治療を取り入れながら、他科とも綿密に連携し、質の高い医療を提供します。
消化器内科は消化管全般 (食道、胃、十二指腸、小腸、大腸) および肝臓、胆道、膵臓に起こる疾患を専門的に診療しています。
消化器領域は、各臓器において炎症性疾患、良悪性腫瘍、機能性疾患、感染症など様々な疾患が存在し、内科の中でも患者さんの数が非常に多い領域です。
近年消化器領域における内科的診断・治療技術はめざましい進歩を遂げており、当科では質が高く、きめの細かい医療を提供できるように心がけています。
取り扱っている主な疾患
- 食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵臓癌などの消化器癌
- 逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、胃・食道静脈瘤
- 炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎・クローン病)
- ウイルス性肝炎・非ウイルス性肝炎 (アルコール性についてはすべて対応できるわけではありません)、肝硬変症
- 胆管・胆嚢結石
- 急性・慢性膵炎
- 上記による消化器救急疾患 (消化管出血や急性胆管炎など)
代表的な疾患の診断、治療方針
上下部消化管内視鏡検査による消化器病変の診断
熟練した専門医が内視鏡検査を行い、癌やポリープ、潰瘍がないかどうかを検査します。癌の広がりや深さを正確に診断するために、色素内視鏡 (青い色素を散布する)、拡大内視鏡、NBI (狭帯域光法) 観察、超音波内視鏡検査などを用いています。
上部消化管
内視鏡による食道癌、胃癌などの早期診断を行うとともに内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)、内視鏡的粘膜切除術 (EMR) による早期癌の内視鏡的切除を行っています。
また、出血性胃十二指腸潰瘍や食道静脈瘤破裂などの消化管出血に対する緊急止血術、異物誤飲に対する異物除去術などの緊急内視鏡的処置も積極的に行っています。
下部消化管
近年大腸癌の罹患率は年々増加しており、大腸内視鏡を用いた診断や治療の重要性が増しています。大腸ポリープ・早期大腸癌に関して制度の高い診断を行い、EMR・ESDによる内視鏡的切除を行います。最近では、小さな大腸ポリープについてはその場でcold snare polypectomy (CSP) にて切除することが可能です。
また、当科では炎症性腸疾患 (IBD) の治療に力を入れています。IBDとは潰瘍性大腸炎とクローン病の総称で、主に消化管に病変を生じ、慢性に経過する難病です。ライフスタイルの欧米化とともに、日本でも患者さんの数が非常に増えています。
IBDに対する内科治療は、ここ数年間に様々な新薬や治療法が登場し、飛躍的に進歩しています。従来からある5-ASA製剤やステロイド、免疫調節薬に加え、生物学的製剤の投与や血球成分除去療法などを組み合わせて、患者さんのニーズに合った治療を選択し、長期の寛解維持を目指しています。 (画像1)
画像1
肝・胆・膵
肝疾患についてはB型C型ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などの治療を積極的に行っています。近年C型慢性肝炎に対する治療の進歩はめざましく、直接作動型抗ウイルス薬 (DAA) の登場によって治療効果が格段に良くなり、しかも副作用がほとんどなく治療できています。肝硬変症の患者さんにも適応が広がりました。
また肝疾患の患者さんに対して、定期的な画像検査により肝癌の早期診断を心がけています。肝癌に対する手術、動脈塞栓及び動注療法やエタノール局注療法・ラジオ波焼灼療法などは外科や徳島大学病院消化器内科と連携して行うようにしています。
胆・膵疾患も増加傾向であり、特に胆石症、胆道癌、膵癌の患者さんが増加しています。当科での胆膵内視鏡の症例数は年々増加しており、消化管内から針を刺して胆・膵腫瘍の組織を採取する超音波内視鏡下穿刺吸引法 (EUS-FNA) や総胆管結石性胆管炎での緊急ドレナージや採石術、腫瘍による閉塞性黄疸に対する内視鏡的ドレナージなどを積極的に行っています。 (画像2)
画像2
消化器癌の化学療法
食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵臓癌、胆道癌、消化管間質腫瘍 (GIST) などの消化器系悪性腫瘍で、手術が困難な場合や術後に再発した場合は抗癌剤治療を考慮します。
最近は新しい抗癌剤や分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬などが次々に登場し、進行癌でも予後の延長が見込めるようになりました。患者さんの状態に応じて最善の治療を提供できるように検討します。
医師紹介
職名 |
氏名 |
所属学会・認定資格 |
専門分野 |
---|---|---|---|
副院長 兼 臨床教育センター長 |
日本内科学会総合内科専門医 |
消化器内科学 |
|
診療部長 兼 患者支援センター副センター長 |
日本消化器病学専門医 |
消化器内科 | |
主任医長 |
日本内科学会認定医 |
消化器内科 |
|
医員 | 藤井 祥平 | 日本内科学会 |
消化器内科 |
医員 | 八木 麻衣 | 日本内科学会 |
消化器内科 |
診療実績(2021年)
■ 上部内視鏡検査 |
1,084 |
|
---|---|---|
観察のみ |
815 |
|
生検 |
131 |
|
止血術 |
25 |
|
異物除去 |
8 |
|
拡張術 |
2 |
|
EVL |
6 |
|
EIS |
2 |
|
EUS |
48 |
|
EMR |
2 |
|
ESD |
13 |
|
APC |
6 |
|
マーキング |
5 |
|
PEG交換 |
12 |
|
PEG造設 |
9 |
|
■ 下部内視鏡検査 |
1,080 |
|
観察のみ |
625 |
|
生検 |
110 |
|
ポリペク |
107 |
|
止血術 |
29 |
|
EUS |
3 |
|
EMR |
170 |
|
ESD | 8 |
|
整復術 |
5 |
|
細菌培養 |
2 |
|
マーキング |
12 |
|
拡張術 | 9 |
|
■ ERCP |
293 |
|
観察のみ |
19 |
|
EPBD |
11 |
|
EST |
32 |
|
ERBD |
119 |
|
ENBD |
6 |
|
ステント |
10 |
|
砕石術 |
9 |
|
砕石なし排石 |
78 |
|
生検 |
4 |
|
細胞診 |
5 |
学会施設認定
- 日本消化器病学会認定指導施設
- 日本消化器内視鏡学会指導施設
- 日本消化管学会胃腸科指導施設
- 日本肝臓学会認定施設
