整形外科
最終更新日:2023年7月1日
診療科の紹介
豊富な治療実績。生活の質を阻害する関節疾患に専門医が対応します。
院長 中野 俊次
整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。身体の芯になる骨・関節などの骨格とその周りの筋肉、それを支配する神経からなる「運動器」の機能的改善を目指して治療する外科で、当院では四肢を主な治療対象にしています。
診療は6人の整形外科医専門医と非常勤医により、手術を中心に専門的治療が受けられる体制をとっています。
2009年から年間手術件数が1,000例を超えており、なかでも関節外科には力を入れており、特に股関節・膝関節の人工関節置換術の手術症例数が年間450例を超えています。
また、人工関節置換術以外にも、臼蓋形成不全に対する骨盤骨切り術や大腿骨頭壊死に対する大腿骨骨切り術、高位脛骨骨切り術などの関節温存手術も積極的に行っています。
2018年からは手の外科専門医が赴任し、複雑で繊細な構造を持つ手の障害や、上肢関節にも範囲を広げ手術を中心に治療しています。
これまで以上に患者の方々には安心安全に、しかも成績の良い治療を提供し、多くの医療施設・機関から信頼して紹介していただけるように日々努力しています。
整形外科内に2014年より設立していた脊椎・人工関節センターは、2018年4月に関節治療センターと改名しました。
これまでの関節疾患や関節外傷に加えて、リウマチなどの関節に症状や機能障害をきたす疾患にも対象を広げ、整形外科、リウマチ・膠原病内科とリハビリテーション科が総合的に関節治療に取り組む、県内唯一のセンターとなっております。
取り扱っている主な疾患
- 変形性関節症など慢性関節疾患
- 四肢の骨折や高齢者の大腿骨近位部骨折
- 外傷、特に機能障害が起こりやすい難易度の高い関節内・関節周囲骨折症例
- 関節リウマチなど関節破壊が著明で、高度な関節変形・拘縮をきたし薬物治療では改善しない症例
- SLEなどの疾患自体や、ステロイドなど薬物やアルコールの多飲が原因で骨壊死に陥った症例
当科で行っている主要な手術
- 下肢
股関節・膝関節の人工関節手術、人工関節再置換術、股関節・膝関節の骨切り術、関節鏡下手術
- 上肢
手指・手関節の関節障害(関節リウマチ、変形性関節症)、手指の機能再建術、手指の神経障害、切断指再接着、手指の腱断裂、肘関節手術
- その他
四肢の骨折手術、高齢者の大腿骨近位部骨折手術
代表的な疾患の診断、治療方針
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の形の異常や老化が原因で、股関節が徐々に変形していく病気です。わが国では多くの場合が、二次性変形性股関節症と呼ばれる、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全等の元々の病気が原因で発症します。
発症すると関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして、痛みや動きの制限が起こります。加齢とともに次第に悪化し、いったん変形した股関節を元の状態に戻すことはできません。
変形性股関節症の手術治療
- 骨盤骨切り術
骨盤の股関節のまわりをドーム状に切って回転させて固定し、骨頭を覆うようにする手術です。
臼蓋形成不全がある比較的若い方の、初期の変形性股関節症に行われます。
自分の関節を温存できるという利点があります。
- 人工股関節置換術
進行した変形性股関節症に対し行われます。
金属やポリエチレン、セラミックでできた人工の関節に置き換える手術です。
当科では、2014年4月からコンピュータナビゲーションシステムを、2021年4月からロボットアーム手術支援システムを導入しています。
また、前方からの小さな傷(だいたい7から10センチの傷)で、筋肉をほとんど切らない(筋肉の間から侵入する方法)低侵襲手術を行っております。ロボット等の最新技術と低侵襲手術で理想的な手術ができれば、安全かつ正確なインプラント設置、術後疼痛の軽減、早期社会復帰が可能となり、(一部の例外を除き)手術を受けたことで制限される動作はほとんどなくなり、長期にわたり良好な成績が期待できます。
ロボットアーム手術支援システム
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、変形性股関節症と同様に、関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして、膝に痛みや変形、動きの制限が起こります。
変形性膝関節症の手術治療
- 人工膝関節置換術
進行した変形性膝関節症に対し行われます。
金属やポリエチレンできた人工の関節に置き換える手術です。
当科での特徴として、患者さんの状態や希望に応じて、両膝を同時に手術する両側同時人工膝関節全置換術も数多く行っています。
- 高位脛骨骨切り術
比較的変形の少ない変形性膝関節に対しては、自分の関節を温存する高位脛骨骨切り術を行っています。
変形性手関節症
変形性手関節症は、関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして、手関節に痛みや変形、動きの制限が起こります。さらに手関節の変形は腱の断裂を引き起こします。
- 関節形成術
比較的変形の少ない変形性手関節に対しては、自分の関節を温存する関節形成術を行っています。
高度な変形に対しては部分的な動きを残すような部分固定術を行っています。
また腱の断裂を合併した場合は腱の再建を行っています。
指の関節障害
外傷性、変形性指関節症や関節リウマチにより関節軟骨が破壊され、骨が変形したりして、手指に痛みや変形、動きの制限が起こります。
若年者では肋骨などからの軟骨移植で関節を再建する手術を行っています。高齢の方で軟骨が骨化している方は人工関節置換術を行っています。
手指の外傷
多くの作業は手指を用いて行われ、また露出している箇所のため、怪我に巻き込まれやすくなっています。
そんな手指の外傷に対して機能回復を考えた治療を行い、組織修復術~機能再建術まで行っています。またマイクロサージャリー手技を用いて切断指に対しては再接着術や皮弁、足趾移植による再建手術を行っています。
医師紹介
職名 |
氏名 |
認定資格 |
専門分野 |
---|---|---|---|
院長 |
日本整形外科学会専門医 |
整形外科 |
|
診療部長 兼 関節治療センター副センター長 |
後東 知宏 | 日本整形外科学会専門医 日本人工関節学会認定医・評議員 日本股関節学会評議員 中部整形災害外科学会評議員 |
下肢関節外科 |
主任医長 |
日本整形外科学会専門医 |
上肢の外科 | |
主任医長 | 大道 泰之 | 日本整形外科学会専門医 |
関節外科 |
医長 | 杉峯 優人 | 日本整形外科学会専門医 |
整形外科一般 |
専攻医 | 阿部 拓馬 | 整形外科一般 |
診療・手術実績(2022年)
■ 手術総数 |
1,731 |
|
---|---|---|
■ 上肢・手 |
444 |
|
肩 |
3 |
|
肘 |
20 |
|
手 |
421 |
|
■ 下肢 |
543 |
|
股 骨切り |
9 |
|
膝 骨切り |
11 |
|
人工股関節 |
228 |
|
人工膝関節 |
242 |
|
関節鏡手術 |
11 |
|
■ 外傷 |
635 |
|
■ 腫瘍 |
17 |
|
悪性 |
0 |
|
良性 |
17 |
|
■ その他 |
92 |
学会施設認定
日本整形外科学会認定医研修施設
日本リウマチ学会教育施設
その他
当院で採用しているシステム
- ナビゲーションシステム
2014年4月から人工股関節手術にナビゲーションシステムを導入。
術前CT検査の情報をコンピューターに取り込み、インプラントを最適な位置に設置できるように手術の計画を立て、術中ナビゲーションに従い行うことで、より精度の高い安全な手術を心掛けています。
- ロボットアーム手術支援システム
2021年4月から人工股関節手術に導入。
ナビゲーションシステムよりさらに精度の高い安全な手術ができ、良好な手術成績が長期にわたり期待できます。
- 自己血貯血や、術中回収血システム
300ml以上の出血が予測される手術においては、同種血輸血による感染症やアレルギー反応などの副作用を防ぐため、術前から患者さん自身の血液を貯血、手術中出た血液は回収し、洗浄して返すシステムを導入しています。
- 同種骨バンクによる同種骨移植システム
当院では日本整形外科学会のマニュアルに基づいて、提供いただいた骨を冷凍貯蔵しており、人工関節の再置換術など骨欠損の大きい症例に使用しています。
- 深部静脈血栓予防対策システム
早期自動運動、間欠的空気圧迫法、弾性ストッキング装着、抗凝固療法と術前術後の下肢静脈エコー検査をシステム化して実施しています。
- 疾患別のクリニカルパスシステム
入院中は疾患別のクリニカルパスを導入して、安心安全できめ細やかな診療ができるように心がけ、退院後は綿密な病診連携によって、後方支援病院や関連病院の先生がたのご協力をいただき、術後ケアにも務めています。
