脳神経外科
最終更新日:2023年4月1日
診療科の紹介
長い歴史を持ち、脳腫瘍・脳血管障害など脳神経疾患全般に対応します。
脳神経外科の対象疾患は、中枢神経の腫瘍、血管障害、外傷、機能性疾患、奇形、炎症などです。本来は外科的治療を専門としていますが、てんかんや痛み、しびれの治療には薬物療法が住体となります。
日ごろ外来診療でよくみられる訴えは、頭痛、ふらつき(めまい)、しびれなどの症状が多く、診察や検査を行ったうえで診断、治療を進めていきます。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病と診断された患者さんにも必要があれば当科にて対応することもあります。
特に疾患として多いのはいわゆる脳卒中と呼ばれる血管傷害です。死亡率は次第に低下してきているものの、有病率は依然として高く、介護保険適用の原因となる疾患の最多の要因となっています。最近では脳梗塞急性期に、t―PA静注療法や機械的血栓回収療法の有効性が明らかとなり、当科でも積極的に対応しています。
取り扱っている主な疾患
- 脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、動静脈瘻など)
- 脳腫瘍 良性腫瘍(髄膜種、神経鞘腫、下垂体腫瘍など)
- 脳腫瘍 悪性腫瘍(神経膠芽腫、転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫など)
- 頭部外傷 慢性硬膜下血腫、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫など
- 機能的脳外科(三叉神経痛、顔面けいれんなど)
- 水頭症 (正常圧水頭症、閉塞性水頭症)
- 感染症(髄膜炎、脳炎、脳膿瘍)
- 症候性てんかん
- 頭痛 (片頭痛、緊張型頭痛など)
- 認知症 (アルツハイマー型、レヴィー小体型、血管性)
- パーキンソン病
代表的な疾患の診断、治療方針
脳血管障害
頸動脈ステント留置術
- 脳梗塞
超急性期脳梗塞には発症4.5時間以内ならrt-PA静注療法を、その適応外症例や無効例には機械的血栓回収療法(カテーテル治療)を行います。上記治療適応外や軽症例には従来の保存的治療とリハビリテーション、危険因子の改善を中心に治療を行います。
頚部頚動脈狭窄症の適応症例には頸動脈ステント留置術(図参照)や内膜隔離術を行っています。
- 脳出血
保存的治療が基本ですが、比較的血腫が大きい場合には開頭血腫除去術を検討します。
- くも膜下出血
脳動脈瘤破裂が明らかとなれば、開頭クリッピングまたはコイル塞栓術を行います。
また脳ドックなどで偶然発見された未破裂脳動脈瘤には、形状、部位、患者さんの状態等から患者さんとよく相談して治療方針を決定いたします。
- 動静脈瘻
脳血管造影から血流動態を把握して、治療(血管内治療)判断を行います。
脳腫瘍
- 良性腫瘍
髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫などは症状や部位、大きさ、年齢などを考慮の上、摘出術を検討いたします。
- 悪性腫瘍
悪性神経膠腫、転移性脳腫瘍など悪性腫瘍と考えられる場合には手術、放射線治療(他院での定位放射線治療を含む)、抗がん剤を用いて治療を行っています。
頭部外傷
慢性硬膜下血腫は外傷後徐々に血腫が増大してくるので、外来で発見されることが多く、局所麻酔の穿頭洗浄ドレナージ術で軽快することが多いです。
急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫は交通事故、転落転倒など高エネルギー外傷にて起こることが多く、血腫が多い場合には緊急開頭血腫除去術が必要です。重症の場合には重度の後遺症を残すことがあります。
機能的脳外科
三叉神経痛、顔面けいれんではまず薬物療法を行いますが、コントロール不良の場合には神経血管減圧術をお勧めします。
水頭症
脳出血などで生じた急性水頭症には脳室ドレナージを行います。二次性交通性正常圧水頭症では脳室(或いは腰椎)腹腔短絡術を行います。また特発性正常圧水頭症が疑われる場合には、症状、画像所見を検討ののちタップテスト(髄液廃液検査)をしてみて適応を決定いたします。
てんかん
詳細な問診が必要で、画像・脳波所見も合わせ発作型検討します。薬物治療が基本ですが、難治症例や診断に苦慮する場合には、徳島大学てんかんセンターと連携をとって治療いたします。
頭痛
片頭痛、緊張型頭痛の方には薬物治療とともに生活指導を行い、症状の改善に努めます。
認知症
社会問題にもなっている認知症ですが、治療可能な認知症もあり(例えば慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症など)脳外科的検査をまず行います。認知症検査にて治療適応があれば薬物治療を開始いたします。
その他
感染症(髄膜炎、脳炎、脳膿瘍)、パーキンソン病などにも適宜対応治療いたします。
医師紹介
職名 |
氏名 |
認定資格 |
専門分野 |
---|---|---|---|
診療部長 兼 救急室総括部長 |
脳神経外科専門医 |
脳神経外科 |
|
診療部長 |
日本脳神経外科学会専門医 |
脳神経外科全般 |
|
診療部長 |
日本脳神経外科学会専門医・指導医 |
脳血管障害 |
|
非常勤医師 | 上田 博弓 | 日本脳神経外科学会専門医 |
脳神経外科一般 |
診療・手術実績(2021年)
■手術総数 |
82 |
|
---|---|---|
脳腫瘍摘出術 |
8 |
|
脳動脈瘤頚部直達術 | 1 |
|
脳動脈瘤コイル塞栓術 |
9 |
|
脳内血腫除去術(脳出血) |
2 |
|
経皮的血管形成術(ステント併用含む) |
9 |
|
経皮的血栓回収術 |
3 |
|
その他の脳血管内手術 | 3 |
|
開頭血腫除去術(外傷性頭蓋内出血) |
5 |
|
神経血管減荷術 |
1 |
|
慢性硬膜下血腫 穿頭洗浄術 | 29 |
|
水頭症手術(VP、LPシャント) |
9 |
|
脳膿瘍 | 1 |
|
その他 |
2 |
学会施設認定
日本脳神経外科学会認定訓練施設
