3月定例会で可決した決議・意見書
最終更新日:2025年5月9日
再審法改正を求める意見書
えん罪は、犯人とされた方やその家族の人生を破壊し、時には生命さえ奪いかねない最大の人権侵害である。
えん罪被害者を救済するための制度として、「再審」が刑事訴訟法に定められているが、再審請求手続の審理の在り方に関する規定はほとんどなく、裁判所の広範な裁量に委ねられている。このため、事件を担当する裁判官によって再審請求手続の審理の在り方に大きなばらつきが生じており、公平な裁判が制度的に担保されていない。
そのような中で、とりわけ問題となっているのが、証拠開示の問題である。過去の多くの事件では、捜査機関が有する証拠が再審請求段階で新たに開示されたことが、再審開始決定への大きな原動力となっている。しかし、現行法には明文規定が存在せず、裁判官や検察官の対応次第で開示の範囲に大きな格差が生じており、再審請求人が捜査機関の手元にある証拠を利用できるよう、これを開示させる法整備が必要である。
本市ではかつて「徳島ラジオ商事件」と呼ばれるえん罪事件があり、事件発生から20年以上が経過した第5次再審請求の段階で、多くの新たな証拠が検察庁から開示され、後の無罪判決のきっかけとなったが、犯人とされていた再審請求人は請求の途中で病死している。証拠開示が法制化されていれば、生前に無罪判決を確定させることができた可能性がある。
また、再審開始決定がなされたとしても、検察官がこれに不服申立てを行う事例が相次いでおり、審理が長期化するのみならず、再審開始決定が取り消される場合もある。再審公判では検察官にも改めて有罪立証の機会が与えられており、再審開始決定に何ら不都合はない。したがって、速やかに再審公判に移行すべきであって、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを認めるべきではない。
よって、国においては、えん罪被害者を一刻も早く救済するため、次のとおり再審法(刑事訴訟法の再審規定)を速やかに改正するよう強く要望する。
1 再審請求手続において全ての証拠を開示する規定を整備すること。
2 再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止すること。
選択的夫婦別姓制度を導入するための国会審議を求める意見書
我が国では、法律上婚姻に際して夫婦別姓が認められておらず、夫の姓を称するケースが約95%と大半を占めており、望まない改姓や事実婚によって、多くの女性が仕事上、日常生活上の不利益や不都合を強いられている。
とりわけ、働く女性にとって、改姓によってキャリアが中断されることは切実な問題であり、結婚を躊躇する要因ともなっている。旧姓の通称使用では、法的根拠がないことから様々な事務手続が煩雑化するだけでなく、本人であることを疑われる事例も生じており、問題の根本的な解決にはつながっていない。
1996年には法務大臣の諮問機関である法制審議会が選択的夫婦別姓導入を含む民法改正要綱を答申しているが、既に
選択的夫婦別姓制度は、改姓を望まない場合は夫婦別姓を選択できるもので、同姓での婚姻も可能な、誰も強制を受けることのない制度であり、若年層ほど賛同の意見が多く、昨年6月には、導入に賛成する自民党議員連盟の会合においても、日本経済団体連合会から早期の導入に向けた提言が行われている。
したがって、家族の在り方の多様化や女性の社会進出が拡大する昨今の状況を踏まえると、制度の導入に向けた取組を加速させていく必要がある。
よって、国においては、選択的夫婦別姓制度の導入に向け、民法その他の法令改正について審議を行うよう強く要望する。
介護職員の処遇改善及び地方自治体への財政的支援を求める意見書
近年、高齢化の進行に伴って介護ニーズが大きく高まる一方で、物価高騰や人材不足、大規模災害への対応など、介護業界を取り巻く環境は一層厳しさを増している。そのような状況の中、介護事業者が質の高い介護サービスを安定的に継続して提供するためには、公的機関からの経済的援助が不可欠である。
国は「重点支援地方交付金」を創設し、エネルギー・食料品価格の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の支援を継続することとしているが、経済的援助を必要とする分野は介護業界以外にも多数あり、交付金の活用に当たっては、他分野とのバランスを十分に考慮しなければならない。支援を必要とする全ての介護施設に不均衡なく支援を行き渡らせるためには、「重点支援地方交付金」のみならず、国の施策による自治体へのさらなる支援が必要である。
一方で、介護施設における設備・備品の設置、老朽化に伴う大規模修繕や災害対策に係る補助については、多くの財源を要し、自治体単独での対応は予算面で困難であるが、重点支援地方交付金の推奨事業メニューから除外されており、介護施設の運営に対する支援を不均衡なく行き渡らせるには、国の施策による自治体への支援が求められている。
また、最低賃金の引上げや、大手企業を中心として基本給の引上げが行われる中、介護施設等については、国の基準に基づいた公定価格によって運営されているため、各種物品や光熱費などの値上がり分を事業収入となるサービス利用料などに価格転嫁できず、職員の賃金引上げが困難な状況にある。
このことは、高齢化社会において欠くことのできない介護職員をさらに不足させ、介護サービスの質の低下を招き安定的な提供を妨げる大きな要因となり得るものであり、その解消に向けた介護職員の賃金向上などのさらなる処遇改善の実施が喫緊の課題となっている。
よって、国においては、自治体に対する財政的支援と併せて、臨時的な報酬や公定価格の改定など、介護職員の処遇改善に向けた特段の措置を講じるよう強く要望する。
山本議員に対する問責 決議
徳島県後期高齢者医療広域連合議会は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、県内全ての市町村をもって構成される組織であり、同議会の議員は県内市町村の議員及び長から選出され、本市議会においても2名の議員が選出されている。
広域連合議員の任期は議員の任期に準じる4年であるが、本市議会では慣例として、これまで正副議長経験者をそれぞれ選出するとともに、2年で辞職し新たに後任を選挙する運営が定着しているところ、山本議員は、当選から2年が経過する今定例会において、広域連合議員の辞職を拒否し、議長や議会運営委員長が対応に苦慮することとなった。
我々17人は、円滑な議会運営の阻害につながるこの行動を重く受け止め、定例会最終日となる3月19日に山本議員に対し、広域連合議員の辞職を求める決議案の提出を企図したところ、これを知った山本議員から文面を確認したいとの要求があり、提出予定の文案を提供したものである。
しかし山本議員はあろうことか、案の段階であった文面の一部をフェイスブックに投稿し、提出者として我々を名指しした上で、広域連合議員の辞職願を提出したにもかかわらず決議案を提出されたと受け取れるような主張をしている。
このような行為は、我々提出予定者の市民からの信頼を失墜させるだけでなく、ほかの議員も同様の行為を行っているとの誤解を招きかねず、山本議員自身の品位をも損ねるものであると言わざるを得ない。
SNS上の情報が及ぼす影響の大きさについては、昨今、国においても議論が交わされている中、市民に範を示すべき議員という立場にありながら、これに逆行するような山本議員の行動を、これ以上看過することはできない。
よって、山本議員に対し、一連の経緯に係る猛省を求めるとともに、議員としての責任を問うものである。
生活保護費の国庫負担金過大請求に関する調査特別委員会の設置を求める決議
本議会は、地方自治法第100条の規定により、次の事項について調査するものとする。
1 調査事項
過去にわたる生活保護費の国庫負担金過大請求に至る経緯に関する事項
2 特別委員会の設置
本調査は、地方自治法第109条及び委員会条例第6条の規定により、委員10名で構成する「生活保護費
の国庫負担金過大請求に関する調査特別委員会」を設置し、これに付託して行う。
3 調査権限
本議会は、1に掲げる事項の調査を行うため、地方自治法第100条第1項及び第10項並びに第98条第1
項の権限を「生活保護費の国庫負担金過大請求に関する調査特別委員会」に委任する。
4 調査期間
「生活保護費の国庫負担金過大請求に関する調査特別委員会」は、1に掲げる調査が終了するまで閉会
中もなお調査を行うことができる。
5 調査経費
本調査に要する経費は、令和7年度においては、100万円以内とする。
なお、3月31日に、同委員会を開会し、委員長、副委員長を選任しました。委員構成は次のとおりです。
委員長
副委員長
委員
委員
委員
委員
委員
委員
委員
委員
新ホール整備における県市基本協定の適切な見直しと損害賠償の明確化を求める決議
全国の都道府県で唯一、1,000席以上規模の公共ホールがない本県において、新ホールの早期建設は喫緊の課題であり、令和3年3月に県・市間で「県市協調新ホール整備基本計画」が策定されるとともに、県・市の役割分担等、基本的な事項を定める「県市協調新ホール整備に関する基本協定」が締結されたことを皮切りに、全国に誇ることのできるホール建設に向け、県・市は手を携えてきた。
そのような中、昨年、徳島県の後藤田知事が、現基本協定を改定することにより、新ホールの建設予定地を旧文化センター跡地から藍場浜公園西エリアに変更する方針を示した。この方針転換は、市がこれまで、現基本協定に基づき、中央公民館等の解体や
市議会においても、安易に改定によって対応することがないよう、地方自治法第96条第2項に基づく、県市基本協定の締結・改廃に議会の議決を必要とする条例案を提出し可決されたが、市長が拒否権である再議に付し、付託された総務委員会でも質疑に明確な回答がないことで、現在も継続審査が続いている。
先般、知事は県議会において、旧文化センター跡地での整備を前提として結ばれた現基本協定を終了させ、新たに藍場浜公園西エリアでの整備を前提とした協定を締結し直す方針を示したが、その後の議論では、「白紙ではなく廃止とも言っていない」、「県の方針はこれまでと変わっていない」と方針転換を否定するなど、これまでと何ら変わりなく、県議会議員からも「ごまかし」と疑問を呈する意見が出されている。
今後、本市が県と長きにわたり、あらゆる面で県・市協調を維持し、市政の安定化を図っていくためには、県に対し、市が被った損害額を明確に伝えた上で、今後の協議に取り組むとともに、市議会との信頼関係を壊すような行為は厳に慎むべきである。
よって、市においては、次の措置を講じられるよう強く要望する。
1 継続審査中の条例議案の結論が出るまで、県との間で県市基本協定の改廃及び新たな協定の締結を一
切行わないこと。
2 県による現基本協定違反により市が被った具体的な損害額(無償譲与した市有地の評価額、施設解体
費用その他関連費用を含む)を速やかに積算し、その結果を県及び市民に公表すること。
3 積算結果に基づき、県に対する適切な措置を検討すること。
4 今後の県との協議においては、市の正当な権利を主張し、市民の利益を最大限に守ること。
県市協調新ホール整備に関する県市基本協定の締結及び改廃に慎重な対応を求める意見書
徳島県と徳島市は、令和3年3月に、長年にわたる懸案である新ホール整備に向けて、「県市協調新ホール整備基本計画」を策定するとともに、県・市の役割分担等、基本的な事項を定める「県市協調新ホール整備に関する基本協定(以下、「基本協定」、「現基本協定」とする)」を締結している。
それ以降、市は、当該基本協定に基づき、旧文化センター跡地の市有地を県に無償譲与するとともに、中央公民館及び社会福祉センターの解体、
知事が建設予定地の変更を現基本協定の改定により対応するとしたことに対し、昨年の徳島市議会9月定例会では、建設予定地や施設規模等を比較すれば、全くの別物であり、現基本協定を白紙にした上で新たな協定を締結するべきとする意見が相次いだ。また、知事と市長による行政手続を無視した強引な進め方に歯止めをかけるため、県市基本協定の締結・改定・廃止には市議会の議決を必要とする条例案が、定例会最終日に18人の議員から提出され、賛成多数で可決されたものの、9月定例会閉会後に市長が地方自治法第176条第1項に基づく再議に付し、状況は何も進展していないとして、市議会で継続審査が続いている状態である。
一方、県議会では、さきの定例会において知事が、旧文化センター跡地での整備を前提として結ばれた現基本協定を終了させ、新たに藍場浜公園西エリアでの整備を前提とした協定を締結し直す方針を示したが、その後の議論では、「白紙ではなく廃止とも言っていない」、「県の方針はこれまでと変わっていない」と方針転換を否定するなど、これまでと何ら変わりなく、県議会議員からも「ごまかし」との疑問を呈する意見があった。
また、県が市のまちづくりを支援する目的で設置した20億円の基金の積算根拠すら明確に示されていないようであるが、本来であれば、建設予定地の変更に伴い、市がこれまで負担してきた金額を返還すれば済む話であるにも関わらず、基金の設置で対応することは、県の現基本協定違反による損害賠償責任の発生を回避するために基金という形で曖昧にしているものと言わざるを得ない。
さらに、現基本協定に基づき市が費やした施設解体費等の約10億円について複数の議員から質問があった際も、県は「現時点で市から請求はない」と答弁するなど、市が県立ホール整備のために多額の市費を投入してきたことについてはまるで他人事である。
このように、県議会、市議会に混乱を招いている県の一連の行動は不誠実極まりなく、到底看過できるものではない。
市議会において、再議に付され継続審査中である条例案は、現在、効力を失っており、現時点では、基本協定の改廃や締結に市議会の議決が必要な状態ではないことは周知のとおりである。そのような中、徳島市の遠藤市長は、市議会での早期の採決を求めながらも「継続審査が年度をまたいでいたずらに続くのであれば何らかの決断をせざるを得ない」と、市議会の議決を待たずに協定の締結を示唆している。
このような中にあっても、県は、現基本協定に基づく損害賠償責任から目を背けることなく対応すべきである。条例案の継続審査中に、その根拠となる現基本協定の改定に踏み切るようなことがあれば、県・市及び市議会の信頼関係は完全に崩壊し、今後のあらゆる議会審議に大きな支障を来すことになり、ひいては、県民・市民の生活に大きな不利益をもたらすことは明白であり、二元代表制の観点からも、そのような暴挙は言語道断であり厳に慎むべきである。
したがって、県においては、継続審査中の条例案の結論が出ない間は、断じて、現基本協定の改廃や新たな協定の締結に踏み切ることのないよう、強く要望する。
議長不信任決議
徳島市議会公明党徳島市議団、朋友会、自由民主党徳島市議団、誠和会、新政会、徳島活性会議の議員一同は、
しかしながら、船越議長就任後の議会運営については、様々な問題解決に向けて自らが会派間の調整に赴かず、議長としての手腕を発揮することもなく、会期の延長は度々起こり、閉会が深夜に及ぶこともあった。
とりわけ、3月定例会においては、当初、閉会予定であった19日を迎えても議事が一切進められずに空転し、2度にわたる会期延長をしてもなお、緒に就く気配すらない。
本日は3月31日であり、令和6年度の最終日となっている。このような状況の下において、予算や条例など重要な案件が審議されずにこのまま新年度を迎えれば、市民生活を停滞させることは「火を見るよりも明らか」である。
このような事態に陥ったことは、議長が他の議員からの意見や提案に耳を傾けず、執行部の窮状をも顧みることなく、自らの主張に固執していることに起因している。
私達は、議長と対話し、円滑な議事進行について助言することを望んでいたが、話し合う事もせず、一切、矢面にも立たない姿勢は議長としての資質を欠いている。
また、本日、議会運営委員会の正・副委員長に不信任決議が提出されたが、議運は議長の諮問機関であり、このような事態を引き起こした議長の責任は非常に重いものがあると考える。
よって、徳島市議会の正常かつ公平・公正な議事運営を強く求めるとともに、
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