特色ある農業

更新日:2016年4月1日

野菜・果樹等

(1) イチゴの高設(こうせつ)養液栽培

 イチゴのハウスの中に棚を設置し、棚の上で人工の土を用い、点滴方式で必要なときに必要なだけの養液を与えて育てていく農法で、現在普及がすすんでいます。棚式により立ったまま楽に作業ができるほか、水・肥料は機械が自動で行うため大幅な省力化が図られます。また、この自動化により無駄な肥料分が省け、効率的な栽培ができます。
 平成10年度に上八万で試験的に約7アール(1アール=100分の1ヘクタール=100m2)実施したのをはじめとして、23年現在、市内南部を中心に約4ヘクタールまで普及しています。

(2) ミカンのマルチ栽培

 ミカンの果実が大きくなり始める頃から、樹の根元の周りや園地全体をフィルム資材でおおい、あまり水分をとらないようにさせて樹にストレスを与え、果実の味を濃く甘くさせる方法です。果実が小さくなったり、酸味が抜けにくくなったり、樹が弱るなどの反作用もあるため、調整が必要なこともあります。また、フィルムによる日光の照り返しによって、果実の色が鮮やかに均一に色づいたり、虫が寄りつきにくい効果もあるようです。現在、露地栽培(ろじさいばい:屋根のない雨ざらしの畑での普通の栽培)で約2.5ヘクタール、ハウス栽培で約2.5ヘクタールの取り組みとなっています。

(3) 性フェロモン利用による減農薬栽培

 沖洲のネギ栽培で普及しているほか、川内のサツマイモ、国府町・不動のホウレンソウ、勝占・多家良のナノハナやシソ、応神のツルムラサキ等で普及している農法。これは、ハスモンヨトウなどの蛾の幼虫に食べられないように性フェロモン剤(メスの匂いのようなもの)を使ってオスをおびきよせたり攪乱させたりして補殺または交尾不能にして産卵の機会を少なくし、次の世代の幼虫の密度を抑制させるというものです。性フェロモン剤は他の生物への影響がなく、農薬の使用回数や量を減らすことができます。
 沖洲ではほとんどのネギ農家が実施しており、約40戸の50ヘクタールで実施。川内約100ヘクタール、国府町・不動約50ヘクタール、勝占・多家良ではナノハナ約20ヘクタール、シソ約5ヘクタールで、応神のツルムラサキでは約5ヘクタールの取り組みが見られます。

(4) 防蛾灯(ぼうがとう)を用いた減農薬栽培

 夜蛾(ヤガ:夜行性の蛾)の被害は、夜間に成虫が飛んで農作物に卵を産みつけ、生まれた幼虫が作物を食い荒らすパターンとなりますが、この夜蛾は周囲が明るい時は活動しない性質をもっています。この性質を利用して、夜に薄明るい黄色蛍光灯を畑に点灯させて蛾に昼間と勘違いさせ活動させなくするという技術があり、隣の兵庫県などでは盛んに行われ、本市内でも数件の取組みが見られておりました。
 ただし、夜間照明となるので、周りに稲やホウレンソウなど光に対して敏感な作物があったりすると、穂が遅れたり茎が伸び上がってしまうなどの影響を生じてしまうため、導入は難しい部分もありました。
 ところが、近年、作物に影響のない緑色の蛍光灯を用いた技術(波長が黄色とは違う)が開発され効果があったため、市内では応神のツルムラサキで導入が検討されております。

(5) 天敵のダニを用いたイチゴ栽培

 イチゴの葉を食べる「ハダニ」に対して、その天敵の「チリカブリダニ」というダニを放して食べてもらう方法です。上八万、勝占、多家良等で約2.5ヘクタールの取り組みが見られます。もちろん、化学農薬の使用回数が減らせます。

(6) 平張り(ひらばり)ネット施設

 沖洲のネギ栽培で現在広がりつつある施設で、5センチ角の角パイプを土台とした畑を覆う箱形の施設です。天井から側面にかけて1ミリ目以下の小さな網目のネットを張ってます。高さ2.3メートル。設置経費はかかりますが、台風にも強くハウス施設よりも安価で、ネギを確実に風雨から守ります。虫も入ってこないので化学農薬の減少にも役立ち、農薬使用量は3分の1から半分くらいまで抑えられます。
 もともとは平成16年の相次ぐ台風の影響で「渭東ねぎ」が壊滅的な打撃をうけたことから、沖縄で広がりつつあった防風施設としてこの施設を見学に行き、地域に応じた改良を加えて導入を図ったもの。平成22年度で4.6ヘクタールまで導入が進んでいます。

(7) シイタケ菌床栽培細霧装置(エアクール)

 菌床栽培はハウスでの周年栽培で、ハウス内の温度管理は大変重要です。シイタケは湿潤な環境を好むため、これまで冷暖房によるハウス内の乾燥が問題となっていました。エアクールは細霧を送風機で送り、空気中の熱を奪い、気温を下げることができるので、夏場は冷房効果があり、冬場は乾燥を防ぐ加湿効果があります。

(8) シイタケ品質向上施設整備(ヒートポンプ)

 シイタケ栽培は温度管理が重要です。培養からシイタケ発生までの約120日間は18℃、発生後は日中23℃、夜間13℃というのが最適な温度とされています。特に冷暖房機能無くしては夏場の高温障害による奇形の発生等不安定な生産となってしまいます。そこで、冷暖房装置のあるヒートポンプを設置し、施設内の環境改善を図りました。

その他減農薬栽培

ラノーテープ

 コナジラミという害虫に対して、薬剤を使わないで駆除する方法です。市内では南井上地区のトマト農家約10戸の2.5ヘクタールで使用されています。これは、黄色に誘引されるコナジラミ類の性質を利用したもので、殺虫成分を含ませた黄色いテープ型のものです。このテープに触れるとコナジラミはホルモンのバランスが崩れ、まともな卵が産めなくなって、増えていくことができなくなります。

BT剤(ビーティーざい)

 バチルス・チューリンゲンシス(BT)という菌の作用を利用した方法で、BT菌の中に殺虫成分があり、これを食べた蛾(ガ)の仲間がこれを消化する時にBT菌の殺虫作用が働くというものです。
 蛾や蝶の仲間にだけ作用し、人畜にも天敵にも無害であり、市内では多家良・勝占のナノハナ約50ヘクタール、シソ約8ヘクタール、応神のツルムラサキで約5ヘクタール、ホウレンソウやコマツナでも利用されております。

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