熊笹蒔絵鞍鐙(くまざさ まきえ くら あぶみ)

更新日:2019年6月26日

熊笹蒔絵鞍鐙(くまざさ まきえ くら あぶみ)の画像

一揃
銘「狩野美信画」「観松斎(花押)」
鞍 前輪高27.5 cm 後輪高25.0 cm 居木長38.8 cm
江戸時代後期
徳島県指定有形文化財(工芸品)
蜂須賀家旧蔵
   

 鞍は海有(うみあり)鞍。鐙は双笑(もろえみ)の鉄心木板張になる舌長鐙で、紋板には三階菱紋、巻貝透しがあしらわれ、保呂付穴を有する。鞍の両輪表と鐙表には詰梨子地に平目粉を打ち込み、高蒔絵によって熊笹が描かれる。一部に銀の蒔暈を交えて笹の葉の隈を表わし、笹の斑には切金、葉脈は付書で、また葉にふりかかかる露は大小の銀鋲によって表現される。両輪裏・居木(いぎ)表には梨子地を施す。
 前輪洲浜形には「大坪道禅正作 政雄(花押)」の薄板が嵌め込まれ、辻山城政雄が、鞍橋(くらぼね)の作者を大坪道禅(どうぜん)と極めたことが知られる。さらに前輪爪先には「狩野美信画」、後輪(しずわ)爪先には「観松斎(初代花押)」の金蒔絵銘があることから、駿河台狩野家4代目洞春美信(よしのぶ)の下画を用いて、徳島藩の蒔絵師初代飯塚桃葉(とうよう)に加飾が命じられた一具と判明する。
 虫喰や葉に穿たれた穴なども描きこむことで、笹の実在感の表現に成功しており、そうした写実性と鞍鐙の意匠としての装飾性が見事に調和した蜂須賀家伝来の優品といえよう。
 
 
『鐡華繚乱―ものゝふの美』,2019,p60.76

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