第15回徳島市「街づくりデザイン賞」の概要
最終更新日:2018年4月16日
第15回徳島市「街づくりデザイン賞」6件が決定しました。
ご推薦いただいた皆様、ありがとうございました。
第15回徳島市「街づくりデザイン賞」の概要と各受賞物件について、ご紹介します。
第15回徳島市「街づくりデザイン賞」について
1 主旨
徳島市では、優れた建築物等が、都市の美化、都市環境の向上に大きな役割を果たしていることから、都市デザイン水準の向上、市民の街づくりに対する意識の醸成を図ることを目的に、「街づくりデザイン賞」を昭和60年度から実施しています。
2 対象となる建築物等
徳島市内で完成したもので、デザイン的に優れ、街づくりに貢献のあったと思われる建築物等(建物、彫刻、モニュメント、生け垣、広場、前庭、サイン、看板、道路など)とそれらを生かした街並みを対象としています。
ただし、過去にこの賞を受賞した物件については対象外です。
推薦の対象となる建築物等
- 建築物等で色彩、形態などが周囲の景観と調和しているもの
- 敷地内に緑地や広場などのオープンスペースを適切に配置したもの
- 山、河川などの自然の景観要素をうまく活用しているもの
- 壁画・彫刻・モニュメントなどにより、文化的、芸術的環境を作っているもの
- 歴史的な街並みの景観を維持し、伝統的な雰囲気を継承しているもの
- サイン・看板などで、周辺の景観に配慮したもの
- 生け垣・前庭・既存木などを生かして修景し、街並みにうるおいをもたせたもの
- 魅力的な夜の景観を創りだしたもの
- 建築物等をリフォームし、新たな魅力づくりをしたもの
- 地場の材料(杉、青石など)を使用し、徳島の風土を生かしたもの
3 推薦期間
平成29年7月1日から平成29年10月15日までの間
4 推薦数
- 推薦総数 88件
- 審査対象物件数 74件(うち14件は重複及び対象外等)
住宅(併用住宅・共同住宅・住宅団地含む) 20件
商業施設(店舗・ホテル・銀行) 21件
病院・診療所 7件
寺院 1件
事務所 5件
福祉施設 1件
公共施設(歩道の上屋・事務所・交番・共同住宅・学校・休憩所) 8件
その他(広場・前庭・花壇・堤防・路地裏・塀・石垣・モニュメント・電柱) 11件
合計 74件
5 審査基準
「とくしま まちのデザイン作法集」(平成9年発行)により審査しています。
6 賞名及び受賞物件
リバーサイド物語賞 ACTUS徳島
路地中の優しさ賞 下助任のいえ
子どもたちからの宿題賞 イオンモール徳島 ベイフロントパーク
里山共生建築賞 デザインラボ リーフヘア
ふれ愛咲かせるフラワーロード賞 元町交差点付近の道路沿いの花壇
緑をつなげる街かど賞 パークウエストンのフロントガーデン
7 賞状授与
受賞物件の建築主、設計者、施工者の方々に、賞状と盾を贈ります。
第15回徳島市「街づくりデザイン賞」の賞状授与式は、平成30年3月26日に徳島市役所で行いました。
賞状授与式記念撮影
8 街づくりデザイン賞選考委員会委員(委員長、副委員長以下五十音順、敬称略)
委員長 林 茂樹 都市環境デザイン会議(建築)
副委員長 喜多 順三 NPO法人コモンズ代表理事(建築)
委員 岡本 多英子 グラフィックデザイナー
委員 笠井 義文 公益社団法人徳島県建築士会会長(建築)
委員 富山 圭子 コピーライター
委員 松永 勉 徳島県美術家協会理事(芸術)
9 広報予定等
広報とくしま 平成30年2月15日号
街づくりデザイン賞総評
街づくりデザイン賞選考委員会 委員長 林 茂樹
今回88件と多くの推薦をいただきましたが、審査対象となったのは74件でした。まちづくりへの市民のみなさまの関心の高さに感謝しております。これらの推薦物件が、少しずつ徳島を魅力ある街に生まれ変わる力になっていると思います。一次選考で選ばれた19物件について現地審査を行い、最終選考会で受賞物件6件を選びました。
「ACTUS徳島」は万代倉庫街を人の集まる場所へと変貌させようと、市民が主体となったまちづくりを進めていますが、この趣旨に応えた設計で、この街の再生に貢献しています。
「下助任のいえ」は狭い路地裏住宅地の奥にありますが、角地を利用して、狭隈な環境に開けたやすらぎ空間を創って魅力ある界隈に変化させています。
「イオンモール徳島 ベイフロントパーク」は、モニュメントを評価したわけではなく、この小さなスペースの広場は、凝った遊具を置いているわけでも特徴的なデザインでも無いのですが、低い山を造った人工芝の上を喜々として裸足で駆け巡る子どもたちの活き活きとした利用が、子どもたちを引き寄せる目に見えない魅力を物語っています。
「デザインラボ リーフヘア」は郊外の山裾にあり、古い石垣を活用するなど環境に配慮して、落ち着いたデザインは風景に違和感なくとけ込んでいます。
「元町交差点付近の道路沿いの花壇」は、「住民主導行政参加」の精神でまちづくりを牽引する「NPO法人新町川を守る会」が活動の幅を広げ、国道添い等の花壇に四季それぞれの花を植え水遣りも続けており、この活動により街並みが美しくなっています。
「パークウエストンのフロントガーデン」は元駐車場を高木や地覆植物を配した庭として整備し都市の街かどに緑を演出しているところを評価しました。
昭和60年度に始まったこの賞も、32年を経て今回で15回目となりました。この間に徳島市の都市環境も大きく変化してきました。「NPO法人新町川を守る会」が発足し、その努力で汚れていた川に美しさが戻り、水際公園も整備されて川に背を向けていたビルも今は川に向いています。各地の建物も周辺に配慮して建つようになり街が美しくなってきており、この賞がうるおいのあるまちづくりへの一助になっているのではないかと思っております。
リバーサイド物語賞 ~ACTUS徳島~
- 所在地 万代町5丁目
- 設計 studio KEN
- 施工 株式会社 島出建築事務所
(審査評)
万代倉庫街は、前回(第14回徳島市「街づくりデザイン賞」)で受賞した『「第二倉庫 アクア・チッタ」、「はこいろ」』をきっかけに、新しい街づくりの息吹が感じられるスポットとして、次々と商店や事務所などが倉庫を改装して入居、魅力ある賑わい空間へと変化を遂げてきています。
その流れの中、この建物はベイエリアの道路軸線の角地に有り、倉庫街の雰囲気を大切に旧来の形態を残しながら、川に向いたファサードは、奇をてらうようなことのないシンプルなデザインで、商業施設らしさを現して、川を行き交う船からの眺望にも倉庫街の変身を印象づけています。屋外機器類も景観上配慮された処理を施され、設計者のまちなみを大切にする思いも伝わってきます。素朴ではありますが、このエリアのまちづくり物語をきちんと受けて造られているところを評価したい。これからもこの地区の変化が楽しみです。
路地中の優しさ賞 ~下助任のいえ~
- 所在地 下助任町
- 設計 株式会社 鳥羽知夫建築設計事務所
- 施工 有限会社 新井建設
(審査評)
この住宅の持つ環境は昔からの住宅密集地であります。狭い路地があり、住宅はその角地に位置しています。敷地の南東がT字路になっており、周りは幅が2mほどの生活道路が通っています。このような中で最近完成したこの住宅は、道路に面して塀がないため、ボーダーレスで開放感のある空間が生まれています。さらに、コーナーとなる場所は、枕木を敷き詰めて車置き場として利用していますが、道路と一体感のある空間になっており、近隣や景観にとてもやさしい姿を見せています。
一方、住宅は主に木材を使用した玄関周りの外観に温かみがあり、周囲との調和に配慮された感が見られます。また、南側の狭いスペースには植栽がされ、潤いのある景観を作り出しています。建物の大きさ、外観、周囲との関係において、住宅密集地でのやさしい建物の作り方に好感が持たれます。今後、このような環境条件の下での住宅建築の方法としてよい参考例になるのではないかと考えられます。
子どもたちからの宿題賞 ~イオンモール徳島 ベイフロントパーク~
- 所在地 南末広町
- 設計 ジーク 株式会社
- 施工 西松建設 株式会社
(審査評)
子どもから見た街づくりデザインとは何か。この場所を見た時に大いに考えさせられました。商業施設の一画に緑の人工芝を貼った、さほど広くないスペース。あるのは、山形の起伏とシンプルな遊具だけ。正直、徳島市内にも、もっと洗練されたデザインのパブリックスペースや、多数の遊具を備えた公園は少なくありません。が、活気という点ではどうでしょうか。このシンプルな遊び場に集まった子どもたちの楽しそうなこと。道路沿いの賑やかな立地が幸い、大声をあげても大丈夫。常に人の目があるのも安心なのでしょう。
大人基準の良きデザインが街を美しく育む一方、子ども視点の街づくりはまだまだ未成熟な分野なのかも知れません。「子どもたちからの宿題」という意味で選んだ今回の賞がきっかけとなり、近い将来、高いデザイン性と、楽しさ・実用性の両方を備えた「子どもたちのための空間」が、徳島市にたくさん生まれることを願っています。
里山共生建築賞 ~デザインラボ リーフヘア~
- 所在地 丈六町山根
- 設計 新居建築研究所 新居 照和&ヴァサンティ
- 施工 株式会社 アズマ建設
(審査評)
この建物は丈六町の山麓部に建つ店舗併用住宅です。敷地は里山の麓を石垣で造成したもので、石垣の様子から古くから宅地として利用されていたものと想像されます。この石垣の上に、平家建ての美容室の外壁とこの外壁と同じデザインで構成された板塀が一枚の壁面を形成しています。板塀の背後には、片流れ屋根の2階建ての主屋が建っています。板塀と主屋の角度がずれているのは、東南東を向く敷地に対し、主屋を南面させた結果と思われます。
深い軒や外壁の板張り目板打ち仕上げ、黒い屋根と建具や焦げ茶の外壁の落ち着いた色彩は、伝統的な民家に通じるものがあり、一方で、外壁の縦板張りと横板張りの組み合わせや片流れ屋根、大きな開口部などの新しいデザイン要素も見られ、伝統性と現代性がバランス良く表現されています。
場所の歴史性を重視し、里山の環境と共生する建築の姿が、自然が豊かな環境に建つ建築のモデルになると高く評価されました。
ふれ愛咲かせるフラワーロード賞 ~元町交差点付近の道路沿いの花壇~
- 所在地 元町交差点付近
- 主催 NPO法人 新町川を守る会
(審査評)
中心市街地の花壇に色とりどり溢れるほど花が咲き、徳島駅前から阿波おどり会館前へ、佐古大橋から徳島本町交差点へと、歩道に咲かせた花も街なかに広がっています。
「NPO法人新町川を守る会」が中心となり、平成26年から年に3度、『とくしま まちなか花ロードProject「花植え会」』を開催し、一般市民や世界各国から来たボランティアなども加わり、公共植樹帯に季節の花を植栽しています。
「徳島市を訪れた観光客や市民の皆さんにも気持ちよく過ごしてもらいたい」という主旨のこの活動は、街なかの緑化推進、道路や河川環境の向上、また地域コミュニティの意識向上にも寄与していると評価できます。
今後も引き続き、美しい街並みの景観を創造していただけることを期待します。
緑をつなげる街かど賞 ~パークウエストンのフロントガーデン~
- 所在地 南前川町3丁目
- 設計 有限会社 ザホールデザイン
- 施工 株式会社 姫野組
(審査評)
フロントガーデンに面する街路は、近隣の小中高校生の通学路でもあります。建物のセットバックから生まれたこの緑地は、その性格から誰もが留まるような場所ではありませんが、行き交う子どもたちの目を楽しませ、街かどのランドマークになっています。また、夜間にはライトアップもされ、歩行者に安心感を与える役割も担っています。
門構えを思わせる一対の高い楠は、象徴としての存在感はありますが、周りのスケール感に馴染み、けっして威圧的ではありません。この施設は、改装によって再生されたという経歴を持っていて、街の記憶もつなげています。ともすれば車寄せにのみ使われがちなエントランス廻りを、生まれ変わらせた好例だといえます。
このひとまとまりの緑は、すぐそばにある城山の一部が舞い降りて宿り木になったようにも見え、その緑を、北の街並みにつなげたいという思いが、賞の名称になりました。
この内容についての問い合わせ先
都市政策課 計画景観担当
電話:088-621-5493
電話:088-621-5249
FAX:088-621-5273
