平成27年度 徳島市民病院 病院指標

　当院内科は、糖尿病・代謝、消化器、循環器、呼吸器、血液、腫瘍内科で構成されています。
　血液がんである悪性リンパ腫は、人口１０万人あたり年間約１０人発症しており、近年増加傾向にあります。発症の多くは非ホジキンリンパ腫であり、リツキサン治療を行うB細胞性リンパ腫が約８０％を占めるとされています。当院では臨床症状や病歴、検査、画像所見等による、速やかな総合的診断を心がけています。診断後は速やかに、化学療法や放射線療法などの集学的治療を行います。
　肺炎で亡くなる方の９割は７５歳以上の高齢者であり、その中の７割は誤嚥性肺炎が原因といわれています。誤嚥とは、加齢や脳梗塞によって嚥下機能が低下し、声門を超えて食物や唾液が気道に入り込むことです。当院では誤嚥性肺炎の患者さんに、内科医による適切な抗菌薬治療を施行しつつ、耳鼻咽喉科医による嚥下機能評価を行います。言語聴覚士による嚥下リハビリや、胃瘻の造設など、患者さんの状態にあわせた治療法が選択できます。
　胆石は胆嚢や胆管内にできた結晶で、肝臓の外側の胆管にある時は総胆管結石といいます。結石によって胆汁の流れが悪くなると、胆管炎や膵炎を起こすことがあり、内視鏡的に結石を取り除く必要があります。炎症が強い時はまず胆汁を十二指腸へ排出する管を挿入し、抗生剤を投与して炎症を落ち着かせてから待機的に結石を取り除きます。当院では処置中鎮静剤を用いて苦痛のない治療を行っています。

　当院外科では、呼吸器（肺・縦隔）、消化器（食道・胃・大腸・肝胆膵）領域を中心として、頚部（甲状腺）、乳腺領域まで、良性疾患・悪性疾患いずれに対しても幅広く対応しています。DPCという一般の方にわかりにくい分類では、直腸・結腸癌の化学療法が最も多くなっていますが、診断・手術治療はもちろんのこと、術前・術後の化学療法、さらに緩和ケアまで、他科・多職種と連携しながら一貫して取り組んでいることを示しています。疾患別の年間症例概数は、呼吸器１００例、上部消化管５０例、下部消化管１００例、肝胆膵症例１５０例、ヘルニア１００例、甲状腺疾患１２０例、乳腺疾患９０例、その他救急疾患に対しても多数の対応を行っています。

　高齢化に伴い急性期脳血管障害を取り扱う機会が多くなっています。当院としては、急性期脳血管障害に対する診断、治療の向上を目指し努力しています。また脳梗塞に対して、ｔ－PAを使用しての超急性期治療も行っています。

　2012年4月より脊椎・人工関節センターを立ち上げ、脊椎および股関節・膝関節を中心とした関節疾患に対し、確実な診断とナビゲーションシステムを取り入れた成績の良い手術を行い、患者さんの生活の質の向上を図ることに努めています。　
　また、外傷においては骨粗鬆症を有する高齢者の大腿骨近位骨折を中心に、綿密な病診連携を取りながら、安心安全かつ可及的早期に手術を行い、早期離床や歩行獲得に寄与できるように積極的に協力しています。

　NICUが当院6階にあり、独立の空調、看護単位をもっています。また、日本周産期・新生児医学会新生児専門医の暫定研修指定施設に認定されており、様々な病気の赤ちゃんに対して「後遺症無き生存」を目指して、２４時間体３６５日体制で対応しています。
　小児医療で最も患者さんの多い、肺炎や胃腸炎などの感染症については、常に感染部位と原因病原体を特定し、適切な感染症診療が提供できるように努めています。

　当産婦人科には周産期医療専門医がおり、合併症などのリスクのある妊娠を厳重管理しています。また未熟児など出生後すぐに治療が必要な赤ちゃんが生まれる時は、小児科医師立会いの下にお産をおこない、赤ちゃんは出生後すぐにNICUに搬入し厳重かつ的確な管理を行っています。また当産婦人科は婦人科手術もたくさん行っており、子宮筋腫や卵巣のう腫などを合併した妊娠に対しても十分対応しています。

　鼻が詰まったりニオイが分からなくなったりする副鼻腔炎、よく熱を出して仕事や学校を休む扁桃炎、急に耳が聞こえなくなる突発性難聴など、日常生活の質に関わる疾患で入院治療される患者さんが多くなっています。

　最も多いのは白内障手術ですが、DPC対象症例ではないため、上記の表には出てきません。また、網膜硝子体疾患に関して徳島大学病院と連携をとり治療にあたっております。医師１名で行っているため、多数の患者さんには対応しきれない場合もありますが、診療効率をあげ、より多くの患者さんに満足度の高い治療を提供し、地域医療に貢献してまいりたいと考えております。

　尿路結石の治療に尿管ファイバースコープを用いて結石を破砕する方法（TUL）があります。TULは、入院し麻酔下に内視鏡を挿入し結石を見ながら破砕する方法です。入院期間は３～４日。直接見ながら結石を破砕するので効果が分かり、体外に取り出すこともできます。内視鏡や破砕に用いるレーザー及びバスケットカテーテル（結石を捕獲する器具）の進歩により、軟性尿管ファイバースコープを使用し腎臓内部の結石まで砕石し摘出できるようになりました。
　表在性の膀胱癌には経尿道的腫瘍切除術（内視鏡手術）や膀胱内薬物注入療法を行っている。浸潤性膀胱癌に対しては膀胱全摘術が必要だが、ケースによっては経尿道的腫瘍切除術と抗癌剤、放射線療法を併用する集学的治療で膀胱保存治療を試みている。

　大腸癌はごく一部のケースを除き、大腸ポリープ（線腫）から発生することが分かっています。線腫を悪性化する前に切除することで、大腸癌は予防可能です。通常の内視鏡検査と同様に肛門から内視鏡を挿入し、ポリープにスネアと呼ばれるループ状の針金をかけ、電流で焼き切ります。通常は１泊２日入院で行っており、苦痛なく処置ができることを心がけています。
　悪性腫瘍、結石その他疾患で胆管が狭くなったり、胆汁の流れが悪くなったりした場合、発熱や黄疸が出現します。このような場合に内視鏡を使用して十二指腸からチューブを挿入し、胆汁が流れる道を確保する方法です。処置中は鎮静剤を用いて苦痛のない処置を行っています。

　当院外科では、呼吸器（肺・縦隔）、消化器（食道・胃・大腸・肝胆膵）領域を中心として、甲状腺、乳腺領域まで、良性疾患・悪性疾患いずれに対しても、各専門医が中心となって幅広く対応しています。DPCという分類では一般の人にわかりにくいと思いますが、年間の手術概数は、主な悪性疾患では肺癌5０例、胃癌５０例、結腸・直腸癌１００例、肝胆膵悪性疾患５０例、乳癌６０例、甲状腺癌４０例、良性疾患では胆嚢胆管結石１３０例、鼠径ヘルニア１００例、甲状腺腫瘍・バセドウ病７０例となっています。

　当院は、徳島県下で最初に脳神経外科が開設された病院であり、古い歴史をもちます。脳腫瘍と脳血管障害に対する外科治療を主に扱っており、脳腫瘍・脳動脈瘤などの、いわゆるメジャーと呼ばれている手術の割合が高いのが特色のひとつです。

　2012年4月より脊椎・人工関節センターを立ち上げ、脊椎および股関節・膝関節を中心とした関節疾患に対し確実な診断とナビゲーションシステムを取り入れた成績の良い手術を行い、患者さんの生活の質の向上を図ることに努めています。　
　また、外傷においても綿密な病診連携を取りながら、安心安全かつ可及的早期に確実な手術を心掛け、早期離床や歩行獲得に寄与できるように積極的に協力しています。

　当院のNICUは、日本周産期・新生児医学会新生児専門医の暫定研修指定施設に認定されており、低出生体重児や新生児仮死など、様々な赤ちゃんに対して２４時間体制で対応しています。

　当院の産科は昭和３年の市立実費診療所の時代から徳島のお産のメッカとして活躍してきた老舗です。現在も徳島の周産期医療の中心的役割を果たしています。昭和４０年代から続く高度な新生児医療をおこなうNICU（新生児集中治療室※施設基準取得は平成２２年）を保有しており、安心安全なお産のできる施設であることが特徴です。また、当産婦人科では分娩を取り扱っていない他の産科医院とのセミオープンシステム契約を結んでおります。これにより妊婦健診は最寄りの産科医院で行い、分娩は当産婦人科でということが可能となっています

　副鼻腔炎手術に対しては全例でナビゲーションシステムを用いて安全で確実な手術を心がけています。口蓋扁桃手術では疼痛や出血の危険性の高く日常生活に復帰しにくい期間は入院していただいています。

　医師１名で白内障手術を中心に行っており、いわゆる総合病院の眼科として、他科疾患を合併した症例や全身状態の管理が必要な患者さんに対して、他科と連携をとり治療にあたっております。

　表在性の膀胱癌には経尿道的腫瘍切除術（内視鏡手術）や膀胱内薬物注入療法を行っている。
　尿路結石には主に内視鏡（レーザー砕石術）を使った治療を行っている。入院期間は３～４日。治療の効果、確実性は向上しているが、結石が大きく１回で砕石できない場合や尿管が狭く内視鏡が挿入できない場合、尿管ステント（腎臓から膀胱まで通す細い管）を留置し複数回行うこともある。